コラム

「痩せようと頑張ったのに、さらに太りやすくなってしまった」その理由、科学で解明されました

2025.11.30/管理栄養士 菅原さち


こんにちは、さちです。

あなたは、こんな経験ありませんか?

「短期間で体重が増えたら、その後どんなに頑張ってもなかなか痩せられなくなった」

「ダイエットで減らした体重がすぐに戻ってきて、さらに増えてしまう」

「若い頃は食べなけりゃ痩せたのに、今はそうじゃない」

実は、これ、あなたの**「意志が弱い」からじゃありません**。あなたの体の仕組みが、そう働いてしまっているからなんです。

今日は、最新の研究でが証明した、その理由について話します。


あなたの体には、あなたの意思を無視する「自動運転システム」が備わっている

まず、知っておくべき大切な事実があります。

私たちの体には、あなたが意識することなく24時間働き続ける仕組みが備わっています。それが**「自律神経」**です。つまり、あなたが「痩せよう」と思い立った時点でも、すでにあなたの体は独自の判断で動いているということです。

自律神経は何をしているのか?呼吸、心臓の鼓動、食欲、代謝、体温、さらには免疫機能まで——あなたの生命を維持するすべての重要な機能が、この神経によって自動調整されているんです。

つまり、ダイエットで「食べないぞ!」と決めても、体の方は「いや、この人は今この体重が標準だと思ってるから、この状態を保とう」と判断して、勝手に調整しちゃうわけです。

そして、最も重要なのが、この自律神経には**「現在のあなたの体重を『標準値』として保ち続けようとする力」**があるということです。要するに、体は今のあなたの体重を「普通」として記憶して、その状態を何が何でも守ろうとしているんです。これが、ダイエットが難しい本当の理由です。


実験で驚愕の事実が明かされた

では、この仮説をどうやって確認したのか?

実際の研究では、健康な人たちを2つのグループに分けて、体重を意図的に変化させるという実験を行いました。そして、その過程で自律神経の働きがどう変わるのかを、科学的に測定したんです。

測定方法として使われたのが、心拍変動(HRV)という手法です。これは何か?つまり、心臓の拍動パターンから自律神経のバランスを数値化する最先端の科学的測定法です。目に見えない、感じることもできない自律神経の働きを、数字で可視化することができるんです。

さらに詳しく説明すると、自律神経には2つのモードがあります:

  • 副交感神経(休息や回復を担当する神経)が優位 = 「痩せやすい体モード」

    • リラックス状態、基礎代謝が高い、心拍が落ち着いている、消化機能が活発

  • 交感神経(活動やストレスに関わる神経)が優位 = 「太りやすい体モード」

    • ストレス状態、基礎代謝が低い、心拍が高い、消化が不効率

このバランスが、体重の変化とともに激変するという、驚くべき現象が報告されたんです。


グループA:食べる量を増やして、体重を10%増加させた場合

研究者たちは参加者に、通常より多くのカロリーを摂取してもらい、意図的に体重を約10%増やしました(例えば、体重が50kgなら55kgに)。

その結果、何が起きたか?

体が完全に「省エネモード」に切り替わってしまったんです。

具体的には:

  • 副交感神経(リラックスモード)の活動が大幅に低下

  • 交感神経(ストレスモード)が相対的に優位に

  • つまり、基礎代謝(何もしなくても1日に消費するカロリー)が劇的に低下

  • さらに脂肪が蓄積しやすい状態に

要するに、体が「いま、太った状態が『普通』なんだな」と認識して、その太った状態を保つための設定に自動で切り替わってしまったということです。

これって、すごくないですか?食べる量を増やしたら、体が「あ、この人はいっぱい食べる人なんだ」と学習して、その体重を維持しようと必死に働きだすわけです。


グループB:食べる量を減らして、体重を10%減少させた場合

反対に、参加者に通常より少ないカロリーを摂取してもらい、体重を約10%減らしました(例えば、体重が50kgなら45kgに)。

その結果?

体が「活動モード」に完全に切り替わったんです。

具体的には:

  • 副交感神経(リラックスモード)の活動が向上

  • 交感神経とのバランスが整った

  • 基礎代謝がアップして、心身のストレスが減少

  • より効率的に体が機能する状態へ

要するに、体が「新しい体重が『普通』なんだな」と認識して、その新しい体重を維持するための最適な状態に自動で調整されたということです。

つまり、一度痩せたら、体がその痩せた状態を守ろうとする力が働く。逆に言えば、最初の1週間が最も重要だということです。


つまり、何が起きているのか?——あなたの体は「現在の状態」を死守しようとしている

簡潔に説明すると、以下のメカニズムが働いています:


パターン1:体重が増える場合

体重が増える → 自律神経が感知 → 「この体重が『標準』だ」と体が認識副交感神経の活動が低下(リラックスモードOFF) → 基礎代謝が低下さらに太りやすい設定に自動調整

要するに、体が「今の状態を維持しよう」と全力で働くわけです。その結果、「あ、また太った……」という負のスパイラルが始まる


パターン2:体重が減る場合

体重が減る → 自律神経が感知 → 「新しい体重が『標準』だ」と体が認識副交感神経の活動が向上(リラックスモードON) → 基礎代謝がアップより痩せやすい設定に自動調整

つまり、新しい体重をキープするための理想的な体の状態が整うということです。


正式名称:「ホメオスタシス」

この現象を、医学用語で**「ホメオスタシス」と呼びます。難しく聞こえますが、要するに「体が現在の状態を保ち続けようとする生理的なメカニズム」**のことです。

これは、体が外部の環境変化に対抗して、内部環境を一定に保とうとする、人間が生き延びるために必要な基本的な仕組みなんです。

だから、体重が一度増えると、体はあなたの意思とは関係なく、その増えた状態を「普通」として保とうとする。これが、多くの人がダイエットに苦しむ本当の理由なんです。


「痩せない、続かない」のは、あなたの意志が弱いからじゃない。これが重要です。

多くの人が、こう思い込んでいます:

「痩せない」「ダイエットが続かない」「リバウンドしてしまう」

「自分の意志が弱いからだ」

「自分は意志が弱い人間だ」

「ダイエットなんて自分には無理」

でも、待ってください。これは大きな勘違いです。

実際には、あなたの自律神経という「体の自動装置」が影響しているんです。あなたの気持ちや意思よりも、体の生理的な反応の方が、はるかに強力に働いているということです。

特に、副交感神経(休息や代謝の安定を担当する神経)の低下が関わっています。つまり、気合いだけではどうにもならない**「体の物理的な反応」が働いている**ということです。

もう一度、はっきり言います:

「痩せられないのは、あなたが悪いわけではありません。」

むしろ、それは、あなたの体が**「今の体重を守ろうとしている」という、つまりあなたが生き延びるための基本的なメカニズムが働いているだけ**なんです。


だから、単なる「食事制限」では失敗する

多くの人は、ダイエットを始めるとき、こうします:

「とにかく食べる量を減らそう」 「スイーツは食べちゃダメ」 「毎日、運動しなきゃ」

つまり、徹底的に「制限」と「頑張り」に頼ろうとするわけです。

でも、研究が示していることは、これだけでは足りないということです。むやみに食事制限をするだけでは、体が「省エネモード」のままで、自律神経のバランスが整わないため、うまくいかないことが多いんです。

むしろ、必要なのは、自律神経のバランスを整えること——特に、副交感神経の活動を高めることが最初のステップだということです。

つまり、「頑張る」のではなく、**「体の仕組みを理解した上で、その仕組みに合わせた動き方をする」**ということなんです。


では、どうすればいい?——科学的アプローチへ

この研究の結論は、シンプルですが、強力です:

ダイエットで最初に取り組むべきは、「自律神経のバランスを整えること」である。

そしてそれは、特に副交感神経の活動を高めることによって実現します。

では、具体的には、何をすればいいのか?

それは、以下の3つです:

  1. 「どう食べるか」——食事のタイミング、栄養の選択、食べ方の工夫

  2. 「どう動くか」——運動の種類、強度、タイミング

  3. 「どう息するか」——呼吸法、瞑想、リラックステクニック

これらは、すべて、科学的な根拠に基づいた方法です。つまり、単なる「流行りのダイエット法」ではなく、あなたの体の仕組みを理解した上での、現実的で、継続可能なアプローチが必要ということです。

要するに、「気合いで頑張る」のではなく、「体の仕組みに合わせた、スマートな戦略」を立てるということなんです。


次の記事で、具体的なアクションプランをお届けします

次の記事では、この自律神経のバランスを改善するために、毎日のなかで実践できる食事や習慣のコツをお届けします。

食事のタイミングの工夫、副交感神経を優位にするための運動方法、そして、1日の中で実践できる呼吸法や習慣——すべて、科学的な背景を説明しながら、実用的な形で紹介していきます。

これらを実践すれば、あなたの体は徐々に、「痩せやすい設定」へと自動調整されていくはずです。


重要なメッセージ

「自分の体は、実は科学で説明できる。」

多くの人は、ダイエットが失敗したとき、自分を責めます。でも、本当は、あなたの体が正しく機能していただけなんです。

そして、その仕組みを理解することができれば、ダイエットは「気合いで頑張る」ものではなく、「科学に基づいた戦略」に変わるんです。

つまり、もはや「失敗する可能性の高い挑戦」ではなく、**「成功するために設計された戦略」**になるということです。

次の記事で、その具体的な戦略をお届けします。

一緒に、体の仕組みを理解して、あなたの人生を変える旅を始めませんか?

さち

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